公正証書遺言は、遺言者本人が公証人に依頼をして作成する遺言で、遺言者が公証役場に出向いて作成します。遺言者が病気等で出向けない時は、公証人に自宅や病院に来てもらうことも可能です。
公正証書遺言を作成するときは、遺言者があらかじめ作成しておいた公正証書遺言を公証人が遺言者の前で読み上げ、遺言者の最終意思の確認をします。遺言者の意思が確認出来たら公正証書遺言に署名をし、実印で押印します。遺言者は印鑑証明書を提出します。その際に二人の証人も作成に立ち会い、署名、捺印が必要になります。証人には、未成年者、推定相続人及び受遺者、推定相続人や受遺者の配偶者及び直系血族、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人は、証人にはなれません。これは民法974条に証人の欠格事由と規定されています。
作成した公正証書遺言は原本、正本、謄本の3通を作成します。原本は公正役場に原則20年間保管されます。正本および謄本は遺言執行時に使用するもので、正本は本人が保管し、謄本は遺言執行者が、受遺者や証人等が保管するのが一般的です。公正証書遺言は偽装、紛失、隠匿などの危険性がなく、また、家庭裁判所による検認手続きも不要となります。
公正証書遺言の作成の流れ
- 必要書類の収集
・遺言者の印鑑証明書
・遺言者・相続人・受遺者の戸籍謄本・住民票
・遺産に関する資料(不動産登記簿謄本、預金通帳)
・不動産評価証明書(土地・建物)
・証人を自分で用意する場合には証人の印鑑・住民票
- 証人の依頼
・証人(二人以上)を決める。
- 公証人と事前協議
・公証役場での手続きに先立って、公証人と事前協議を行います。
ある程度遺言書の案を作成し、公証人との間ですりあわせをしながら内容を確定していきます。必要な書類がある場合には、公証人から追って取得の依頼があります。
- 証人と公正役場に行き、公正証書の作成
・証人と一緒に公正役場行きます。手続き上は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述し、公証人がこれをもとに遺言書を作成することになっています(民法第969条)。
実際には、すでに遺言書案を事前協議ですりあわせてありますので、口頭で確認をしたうえで、公証人が遺言者と証人に読み聞かせて、間違いがなければ遺言者と証人が署名押印をします。
公正証書遺言を行政書士に頼むメリット
行政書士に頼めば公正証書遺言作成の手間が省ける
公正証書遺言は、公証人と遺言の内容について打ち合わせをし、遺言の原案を完成させたうえで、作成日に改めて公証役場に出向く必要があります。
行政書士に公正証書遺言を依頼した場合には、行政書士が公証人と打ち合わせをします。遺言の原案は行政書士が完成させていますから、公証人との打ち合わせもスピーディーに終わります。日程の調整などもすべて行政書士が代行しますから、依頼者は作成日当日に公証役場へ行けばよいだけになります。
必要書類の取り寄せも依頼できる
公正証書遺言を作成する際には、戸籍謄本等が必要になります。不動産に関する遺言を作る場合には、固定資産評価証明書や登記事項証明書も用意する必要があります。
行政書士に公正証書遺言を依頼した場合には、これらの必要書類の取り寄せも代行してもらえます。行政書士は役所の手続きに慣れた専門家ですから、必要書類もスピーディーに揃えることができます。